DiaryYumiko Sakuma

家父長制の歩兵たち

DiaryYumiko Sakuma
家父長制の歩兵たち

政治的状況について、いつもは私より楽観的な見立てをする友人が数日前から「終わりだ、もう終わりだ」というようになった。

世の中をさらに分断したカバノー判事問題は、議会で承認されるという形で終わった。アンソニー・ケネディ判事の引退が決まり、トランプ政権がカバノー判事を指名した。そもそも保守的で中絶の権利をひっくり返すのではないかとの危惧がある上に、大統領は罷免されるべきでないとの立場を示していたから民主党には不人気で、そのうえこれまでの裁判所での実績などをめぐる資料が民主党に開示されなかったり、公聴会で嘘をペラペラと言ったりするので最高裁の判事にはいかがなものか、となっていたところに、性的暴行疑惑が噴き出した。上院の司法委員会でFBIによる「追加捜査」をすることになったけれど、大した捜査もしないまま報告書が提出され、多くの知識人や団体は反対意見を表明したけれど、最後の投票はあっさり終わってしまった。またもや民主党は赤子のように捻り潰されたわけである。

今回もまた、田舎の州を代表する長老どもが世の中の決定権を握っていることを見せつけられたことには驚きはないけれど、否決の一縷の可能性を潰したのが女性議員だったことにはショックを受けている。

今回よく耳にした「foot soldiers of patriarchy」という言葉がある。 家父長制の歩兵たち。男たちの支配に寄り添うことに幸せを見いだす女たちのことだ。残念。

1991年にアニータ・ヒルが議会でクラレンス・トーマス判事によるセクハラを証言した翌年行われた選挙は、「Year of the women (女性の年)」と言われた。今年もそうなりそうだな。

備忘録:共和党の女性たちがブレット・カバノーをかばう理由(New Republic)