Yumiko Sakuma

インフルエンサー物語 2019年秋

Yumiko Sakuma
インフルエンサー物語 2019年秋

先日、仕事で訪れたメディアカンパニーで話題になったインフルエンサー物語。260万人のフォロワーがいるインスタグラマーが、ファッションのラインを始めようとして、36枚のTシャツを売る、という生産の最低条件を満たせなかったという話題だった。

インフルエンサーはもはやインフルエンスしない、と言われて久しいけれど、それでもいまだに実力を伴わないインフルエンサーに乗っかろうとする商売があるということに驚く。まだ当たればでかいということか。そういえば、今週は、凋落したインスタグラマー、キャロライン・キャロウェイが再び話題になっていた。彼女のゴーストライターだったという「元友達」ナタリー・ビーチが暴露エッセイを発表したのである。

インフルエンサーというバブルの後ろでどれだけのドラマがあったか、書き手に力があるだけにグイグイ読み進んでしまう。暴露エッセイ、という言い方には、ちょっとした悪意があってイヤなのだが、tell all(すべてぶちまける)の要素があるのだから、やっぱり暴露エッセイということになるのだろう。

結局のところ、このストーリーから自分が何を学んだかわからない。今、という時代特有の不思議な物語のベースにあるのは、エゴと、成功への欲望だ。いいね!の数が商売の武器になり、人間の価値を決めるかのような錯覚を引き起こす。それがよっぽどバーチャルの世界と断絶した生き方を選ばない限り「生きる」という行為の一部であることには間違いない。

その数日後、インフルエンサーにデザインをさせて、コピー商品が発覚したというニュースがツイッターに流れてきた。いまやコピー商品はあっという間に発覚する。どうしてそれがわからないのだろう。会社も、作る人も。著作権侵害は、立派な違法行為ですよ。ってのもあるし、コピー作るなんて、作る喜びもクソもないよね。みなさん、偽物に騙されないように。

そういえば、先日のメディア企業視察で、SNSの世界にブロックチェーンが導入されると、インフルエンサーの影響力が、フォロワーの数ではなくて実際のエンゲイジメントで図れるようになったり、ミームを作っている人が著作を保護できるようになる、という話が出ていた。インフルエンサーの世界も飽和状態かと思えばそんなことはない。こうしたことも進化していくのだろう。

備忘録::インフルエンサー・マーケティングをブロックチェーンで開ける(Practical Ecommerce)